庭の奥に

「伝兵衛、あれを見ろ」 伝兵衛が覗いてみると、葎《むぐら》や真菰《まこも》などが、わらわらに枯れ残った、荒れはてた広い庭の真中に、路考髷を結い、路考茶の着物に路考結び。前髪に源内櫛を挿した等身大の案山子《かかし》が、生きた人間のようにすんなりと立っている。 庭の奥に、社殿造の、閉め込んだ構えの朽...

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諄《くど》い男だ

「いや、諄《くど》い男だ。……こないだ路考が言葉尻を濁したが、わしの察するところでは、年に一度、十年がけの手紙というのを欝陶《うっとう》しがって、無情《すげ》ないことを言ってやったものと見える。その辺の消息は、一瓢《いっぴょう》がうすうす知っていて、帰りがけにわしにそんな風なことを囁いた。……つまり...

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大袈裟《おおげさ》に手を拍《う》って

 源内先生は、大袈裟《おおげさ》に手を拍《う》って、「偉い!」 伝兵衛は、ぎょっとしたような顔で、「するてえと……?」 源内先生は、会心のていに頷いて、「いかにも、その通り。……わしの見込みでは、まず鷹か鷲。……しかし、鷹にはあれほどの臂力《びりょく》はあるまいから、おそらく鷲だろう」「...

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